レジンもしくはコンポジットレジンという材料はMIの治療に欠かせない材料ですが、大きい虫歯の場合は違う材料で表面を覆ってすり減るのを防ぐのが理想的です。
そういった場合、お勧めしたいのは剥がれやすい金属の詰め物ではなく、レジンや歯と良く接着する従来型セラミックスやその仲間のジルコニアといった材料です。
以下にコンポジットレジン(CR)、金属(メタル)、セラミックス、ジルコニアの特徴をまとめました。
材質 | CR | メタル | セラミック | ジルコニア |
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歯を削る量 | ◎ | △ | × | △ |
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必要最小限の削除量 | 健全部分も削除必要 | 厚みを取るため削除大 | 健全部分も削除必要 |
接着力 | ◎ | × | ◎ | ○ |
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歯と強力に接着 | 接着力 劣る | 歯と強力に接着 | 歯と強力に接着 |
虫歯にならない | ◎ | × | ◎ | ◎ |
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剥がれない | 中に虫歯ができる | 剥がれない | 剥がれない |
表面性状 | × | ○ | ○ | ◎ |
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時間と共に劣化 | 滑沢 | 滑沢 | 超滑沢 |
耐久性 | × | ○ | ○ | ◎ |
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摩耗しやすい | 良い | 良い | 摩耗、破折無し |
咬み合せ | × | ○ | ○ | ○ |
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すり減って低くなる | 変化しない | 変化しない | 変化しない |
審美性 | ○ | × | ◎ | ○ |
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良いが劣化する | 金属色 | 本物の歯と同じ | 歯と同じ色ではない |
経済性 | ◎ | ◎ | × | × |
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保険適応 | 保険適応 | 保険適応外 | 保険適応外 |
それぞれの材料の特徴の中で最も大事なのは、再びムシ歯になることを防ぐことができる材料かどうかです。
その点では削る量が少なくてすみ、歯と強力に接着するCRが最も優れています。
しかし、時間と共に表面がすり減ることが避けられないため、咬む面の大きい虫歯の場合、詰め物をした部分の高さが変化してしまい咬み合わせに悪い影響を与えてしまいます。
ある程度大きく削る必要がある虫歯の場合は、審美的にも優れ、良く接着し虫歯にならないセラミックスかジルコニアがお勧めです。
特に、深いムシ歯を歯と強力に接着するレジンで埋めて歯髄を守る治療をした場合は、その表面にレジンと相性のいいセラミックス系の詰め物をするのが最も理想的です。
歯とレジンとセラミックスは相性が良い(強力に接着する)
- 小さいムシ歯や咬み合わせに関係しない場所の場合→CR充填が最適
- CR充填ができない場所→歯の型を取って作るインレーの充填(メタルインレーもしくはセラミックス系のインレー)
- 咬み合わせに関係する場所には、セラミックス系のインレーが最適(保険で治す場合はメタルインレーよりはCR充填)
セラミックス系の材料について
従来型セラミックスと新しい材料ジルコニア
セラミックス系の材料には従来型のセラミックスと、新しい材料のジルコニアの2種類あります。
見た目の美しさはセラミックスが優れていて、本物の歯と見分けがつかないほどです。
ジルコニアは見た目は歯の質感は出せませんが、硬く強靭なので削る量を多少減らすことができます。
どちらもメタルよりもよく接着しますが従来型の方は長期間の予後が確認されていて信頼性があります。
セラミックス、ジルコニア共に保険適応外の材料です。